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デリケートゾーンのかゆみ・におい・痛み|自己判断で市販薬を使う前に
「デリケートゾーンがかゆい」
「においがいつもと違う」
「ヒリヒリする、痛みがある」
このような症状は、とても不快で、誰かに相談しにくいものです。市販薬で何とかしようと考える方も少なくありません。
しかし、デリケートゾーンのかゆみ・におい・痛みの原因はひとつではありません。カンジダ、細菌性腟症、トリコモナス、クラミジア、淋菌、性器ヘルペス、かぶれ、乾燥、洗いすぎなど、さまざまな原因が考えられます。
原因によって必要な治療は異なります。自己判断で薬を使うと、症状が改善しなかったり、かえって悪化したり、本来必要な検査や治療が遅れてしまうことがあります。
今回は、デリケートゾーンの不調で市販薬を使う前に知っておきたいこと、婦人科を受診した方がよいサインについて、わかりやすくお伝えします。
デリケートゾーンの不調は、誰にでも起こりうるものです
デリケートゾーンのかゆみや違和感があると、「自分だけではないか」「清潔にできていないのではないか」と不安になる方もいらっしゃいます。
けれども、デリケートゾーンの不調は、決して珍しいものではありません。月経前後、妊娠中、産後、更年期、疲れやストレスが強いとき、抗菌薬を使ったあと、ナプキンやおりものシートで蒸れたときなど、さまざまなタイミングで起こります。
大切なのは、「恥ずかしいこと」と思って我慢することではなく、症状の原因を確認して、必要なケアや治療につなげることです。
かゆみの原因として考えられること
デリケートゾーンのかゆみでよくみられる原因のひとつが、腟カンジダです。
カンジダは、もともと体に存在することがある真菌、いわゆるカビの一種です。疲れ、ストレス、睡眠不足、抗菌薬の使用、妊娠、糖尿病などをきっかけに増え、かゆみやおりものの変化を起こすことがあります。
典型的には、強いかゆみ、外陰部の赤み、白くポロポロしたおりもの、ヒリヒリ感、性交時の痛みなどがみられることがあります。
ただし、かゆみがあるからといって、必ずカンジダとは限りません。ナプキンやおりものシート、下着の素材、洗剤、柔軟剤、ボディソープなどによるかぶれでも、かゆみや赤みが起こります。
また、トリコモナスや性器ヘルペスなどの感染症でも、かゆみや痛みを伴うことがあります。
においが気になるときに考えたいこと
デリケートゾーンのにおいが気になる場合、細菌性腟症が関係していることがあります。
細菌性腟症は、腟内の細菌バランスが乱れることで起こる状態です。魚のようなにおい、灰色がかったおりもの、さらっとしたおりものの増加などがみられることがあります。
MSDマニュアル家庭版では、細菌性腟症について、生臭いにおいのある灰色または黄緑色のおりものなどの症状から疑われ、診断には医師による評価や分泌物の検査が行われると説明されています。MSDマニュアル家庭版「細菌性腟症」
また、トリコモナス感染症でも、おりものの増加やにおい、かゆみが起こることがあります。厚生労働省の性感染症情報でも、トリコモナスでは女性におりものの増加・臭い・かゆみがみられることがあるとされています。厚生労働省「性感染症」
においが気になるからといって、腟の中まで洗いすぎると、かえって腟内環境が乱れることがあります。洗浄や消臭を目的とした自己ケアを繰り返す前に、原因を確認することが大切です。
痛みやヒリヒリ感がある場合
痛み、ヒリヒリ感、排尿時のしみる感じ、性交時の痛みがある場合も、原因はいくつか考えられます。
外陰部の皮膚炎やかぶれ、乾燥、カンジダによる炎症、性器ヘルペス、クラミジアや淋菌感染症、バルトリン腺の炎症などが原因になることがあります。
特に、水ぶくれやただれ、強い痛みがある場合は、性器ヘルペスなどの感染症を考える必要があります。性器ヘルペスでは、不快感、かゆみ、痛み、水疱、びらんなどがみられることがあります。
また、淋菌感染症では、女性におりものの増加、発熱、下腹部痛、不正出血、性交時痛などがみられることがあり、無症状の場合もあります。進行すると不妊の原因になることもあるため、疑わしい場合は早めの検査が大切です。厚生労働省「淋菌感染症」
自己判断で市販薬を使うときの注意点
市販薬の中には、過去に医師から腟カンジダと診断され、同じような症状を繰り返している方を対象としたものがあります。
しかし、初めての症状、いつもと違う症状、においや痛みが強い症状、出血や下腹部痛を伴う症状では、自己判断で市販薬を使うことはおすすめできません。
カンジダだと思って市販薬を使っても、実際には細菌性腟症や性感染症、皮膚炎、別の病気が原因であれば、症状は改善しにくくなります。場合によっては、診断や治療が遅れることにもつながります。
また、症状が一時的に軽くなっても、原因が残っていると再発を繰り返すことがあります。
「市販薬を使ってもよい症状かどうかわからない」と感じる場合は、先に婦人科で相談する方が安心です。
婦人科を受診した方がよいサイン
次のような場合は、自己判断で様子を見続けず、婦人科を受診しましょう。
- 強いかゆみや痛みがある
- 症状が数日たっても改善しない
- おりものの色、量、においがいつもと違う
- 白くポロポロしたおりものがある
- 黄色、緑色、灰色がかったおりものがある
- 水ぶくれ、ただれ、できものがある
- 排尿時にしみる、痛い
- 性交時痛がある
- 不正出血がある
- 下腹部痛や発熱を伴う
- 妊娠中である
- 性感染症の心配がある
- 症状を繰り返している
性感染症が疑われる症状がある場合には、自己判断で様子を見続けず、医療機関を受診することが大切です。
婦人科ではどんな検査をするの?
婦人科では、症状の内容、いつから始まったか、月経周期、妊娠の可能性、性交渉の有無、過去の感染症、使用している薬や市販薬、ナプキン・おりものシートの使用状況などを確認します。
必要に応じて、外陰部の状態を確認したり、おりものを採取して検査を行ったりします。検査では、カンジダ、細菌性腟症、トリコモナス、クラミジア、淋菌などを調べることがあります。
性感染症については、厚生労働省が、主に血液検査、視診、尿検査、おりものを採取した検査などで確認すると説明しています。厚生労働省「性感染症」
症状や検査結果に応じて、腟錠、外用薬、内服薬などを使い分けます。パートナーの検査や治療が必要になる場合もあります。
日常生活で気をつけたいケア
デリケートゾーンの不調を予防するためには、日常生活の中で刺激を減らし、清潔を保ちすぎないバランスも大切です。
- 外陰部はやさしく洗う
- 腟の中まで洗いすぎない
- 石けんやボディソープでこすりすぎない
- 通気性のよい下着を選ぶ
- ナプキンやおりものシートはこまめに交換する
- 濡れた下着や水着を長時間そのままにしない
- 症状があるときは性交渉を控える
- 睡眠不足や疲労をため込まない
デリケートゾーンは、洗えば洗うほどよいという場所ではありません。腟内には本来、細菌バランスを保つ仕組みがあります。強い洗浄やこすり洗いを続けると、乾燥や刺激、腟内環境の乱れにつながることがあります。
恥ずかしがらずに相談してください
デリケートゾーンの症状は、相談しにくいと感じる方が多いものです。
しかし、婦人科では、かゆみ、におい、おりもの、痛み、できものなどの相談は日常的によくあります。診察では、症状の原因を確認し、必要な検査や治療を行います。
「市販薬で様子を見ていたけれど治らない」
「何科に行けばよいかわからない」
「性感染症かもしれないと思うと不安」
そのような場合も、まずは婦人科でご相談ください。原因がわかるだけでも、不安が軽くなることがあります。
まとめ
デリケートゾーンのかゆみ、におい、痛みは、カンジダ、細菌性腟症、性感染症、かぶれ、乾燥、洗いすぎなど、さまざまな原因で起こります。
原因によって必要な治療は異なるため、自己判断で市販薬を使う前に、症状の特徴を確認することが大切です。
特に、強いかゆみや痛み、においのあるおりもの、色の変化、水ぶくれ、ただれ、出血、下腹部痛、発熱、妊娠中の症状、繰り返す症状がある場合は、早めに婦人科を受診しましょう。
デリケートゾーンの不調は、恥ずかしいことではありません。我慢せず、気になる症状があればお気軽にご相談ください。