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化学流産を知っていますか?―妊娠検査薬が陽性だったのに出血したとき

化学流産を知っていますか?

「化学流産」という言葉を聞いたことがありますか?

妊娠検査薬では陽性だったのに、その数日後に生理のような出血がきた。もう一度妊娠検査薬を使ってみたら、今度は陰性になっていた。

このような場合、**「化学流産」**と呼ばれる状態のことがあります。医学的には「生化学的妊娠」と呼ばれます。

「せっかく妊娠したのに、どうして?」
「私が何か悪いことをしたの?」
「次も同じことにならない?」

と不安になる方もいらっしゃるでしょう。

でも、化学流産は妊娠のごく早い時期に起こるもので、決して珍しいことではありません。

今回は、化学流産とはどのようなものなのか、その後の妊娠についても分かりやすくお話しします。

化学流産とは?

妊娠すると、お母さんの体の中では**hCG(エイチ・シー・ジー)**というホルモンが作られます。市販の妊娠検査薬は、尿の中にこのhCGがあるかどうかを調べています。

一方、超音波検査で赤ちゃんの入る袋である**「胎嚢(たいのう)」**が見えるようになるのは、それより少し後です。

そのため、

妊娠検査薬は陽性になったけれど、超音波で胎嚢が見える時期まで妊娠が続かなかった

ということがあります。これが一般に「化学流産」と呼ばれる状態です。

現在は妊娠検査薬の性能がよくなり、かなり早い時期から妊娠に気づくことができるようになりました。

以前であれば「今月は生理が少し遅れたな」と思うだけで、妊娠していたこと自体に気づかなかったケースもあったと考えられます。

なお、日本では化学流産は、医学的には通常の「流産」の回数には含めません。

どんな症状がありますか?

化学流産では、特別な症状がないことも多くあります。

たとえば、

  • 生理が数日遅れて始まった
  • いつもの生理と同じような出血があった
  • いつもより少し出血が多かった
  • 生理痛のようなお腹の痛みがあった
  • 一度陽性だった妊娠検査薬が、その後陰性になった

といった経過です。

妊娠検査薬を使っていなければ、**「少し遅れてきた普通の生理」**と思っていた可能性もあります。

どうして化学流産が起こるのでしょうか?

「仕事で無理をしたからかな」
「運動したのがいけなかった?」
「重いものを持ってしまったから?」

そう考えてしまう方もいらっしゃいます。

しかし、そのような日常生活の行動が原因だったと考える必要は通常ありません。

妊娠初期に起こる流産では、受精卵の段階で偶然起こった染色体の異常など、赤ちゃん側の要因が多いことが分かっています。

化学流産について一つひとつの原因を特定することは通常できませんが、多くの場合、何かをすれば防ぐことができたというものでもありません。

「あのとき○○をしなければよかった」と、ご自身の日常生活の中に原因を探す必要はありません。

治療は必要ですか?

多くの場合、特別な治療は必要ありません。

hCGは自然に下がっていき、生理のような出血も次第におさまっていきます。子宮の中を手術するような処置が必要になることも通常ありません。

ただし、「妊娠検査薬が陽性だったあとに出血した」というだけで、自分で化学流産と判断しないことが大切です。

「陽性だったのに出血した」=化学流産とは限りません

妊娠検査薬が陽性になったあとに出血すると、「化学流産だったんだ」と思うかもしれません。

でも、必ずしもそうとは限りません。

妊娠の時期が早すぎて、まだ超音波で胎嚢が見えていないこともあります。また、排卵がいつもより遅れていれば、自分で計算していた妊娠週数と実際の週数がずれていることもあります。

そして、もう一つ確認しておきたいのが**異所性妊娠(いわゆる子宮外妊娠)**です。

異所性妊娠でも、

「妊娠検査薬は陽性なのに、子宮の中に胎嚢が見えない」

という状態になることがあります。

そのため、必要に応じて超音波検査を繰り返したり、血液検査でhCGの変化を調べたりします。

妊娠初期は、一度の診察だけでは結論が出ないこともあります。

こんなときは早めに受診してください

妊娠検査薬が陽性になったあと、

  • 強いお腹の痛みがある
  • 左右どちらかだけが強く痛む
  • 出血量がとても多い
  • めまいやふらつきがある
  • 気が遠くなるような感じがする
  • 出血や痛みがだんだん強くなる

このような症状がある場合には、早めに産婦人科を受診してください。

特に強い腹痛やふらつきなどがある場合には、異所性妊娠など、早めの対応が必要な状態との区別が大切です。

次の妊娠は大丈夫?いつから考えていい?

一度化学流産を経験したからといって、妊娠しにくいということではありません。また、次も同じことが起こるというわけでもありません。

日本では化学流産は通常の流産回数には含めませんので、一度の化学流産だけを理由に、不育症などの詳しい検査をする必要も通常はありません。

そして、化学流産のあとだからといって、医学的な理由だけで一律に何か月も妊娠を避ける必要も通常ありません。

出血がおさまり、妊娠反応が陰性になり、体調にも問題がなければ、次の妊娠について考えていくことができます。

ただ、急ぐ必要はありません。

妊娠検査薬の陽性を見て「赤ちゃんができた」とうれしく思った方にとって、そのあと妊娠が終わったことは、たとえ非常に早い時期であってもつらい出来事です。

体だけでなく、ご自身の気持ちも落ち着いてから次の妊娠を考えていただいて構いません。

妊娠検査薬が陽性になったあとに出血したら

化学流産は、妊娠のごく早い時期に起こるものです。

一度経験したからといって、「もう妊娠できないのでは?」と必要以上に心配する必要はありません。

一方で、妊娠検査薬が陽性になったあとに出血した場合、それが化学流産なのか、正常な妊娠の途中なのか、異所性妊娠なのかをご自身で判断することはできません。

特に腹痛がある、出血が多い、症状が続くといった場合には、産婦人科へご相談ください。

妊娠のごく初期には、「今はまだ分からない」ということもあります。

そのような場合も、必要に応じて超音波検査や血液検査を行い、時間をおいて経過を見ることで少しずつ状況が分かってきます。

不安なまま一人で判断せず、気になることがあればご相談ください。