各種婦人科検診・予防接種

がん検診
女性特有の臓器のがんとして主に子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、そして乳がんがあります。厚生労働省の資料によると日本人の死因の第一位はがんによるものです。がんは進行すると治療が難しいのですが早期発見によって予後の改善を見込めるものもあります。
婦人科系がんの種類
子宮頸がん
子宮頸がんはその発生にパピローマウイルス(HPV : Human Papillomavirus)の性行為による感染が関与することがわかっています。HPV感染は決してまれなものではなく、感染しても多くの場合は症状のないうちに自然排除されてしまいます。しかしHPVが排除されず感染が続くと、一部に子宮頸がんの前がん病変や子宮頸がんが発生すると考えられています。子宮頸がんの罹患数は年間約10900例で、死亡数は年間約2900人(人口動態統計2014年より)といわれています。年齢別では20歳代後半から40歳前後までが高くなっていますが、近年罹患率、死亡率ともに若年化してきている傾向があります。
また、喫煙や受動喫煙との関連も最近指摘されています。
子宮頸がんは「異形成」という前がん病変を経てがん化します。子宮がん検診や組織診で異型細胞をみつけることで早期に治療を行うことが可能です。早期に治療ができれば子宮頸がんは比較的予後の良いがんです。このため厚生労働省は2年に1度の子宮がん検診を受けることを勧めていますが、当院では月経がある方は年に1回、閉経後の方は2年に1回の検査をお勧めしています。
子宮体がん
婦人科のがんで最も多いと言われているのがこの子宮体がんです。子宮体がんも早期に発見し早期治療を行う場合ほど治療の成績が良いため、早期診断が重要になります。子宮体がんはエストロゲンという女性ホルモンによる長期刺激が原因で起こるものが約80%と言われています。肥満、閉経が遅い、出産経験がないなどの場合に発症リスクが高くなるようです。
初期から自覚される症状に不正性器出血があります。特に閉経後に長く不正性器出血が持続する場合は子宮体がんの検査を受けましょう。年間の罹患数は約13600人で、死亡数は約2200人(人口動態統計2014年より)と言われています。
卵巣がん
初期の卵巣がんはほとんど自覚症状がありません。自身で気が付かないうちに増大し、下腹部の圧迫感や頻尿などで初めて気がつくケースも多々有ります。初期に気づかれにくいため、診断がつくときにはすでに転移や播種(がん細胞が周囲に散らばること)をしていることもあります。
卵巣がんの発生原因は様々な要因が関与していると言われています。遺伝的関与があるものは10%前後とのことです。婦人科の良性疾患としてよくみられる多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、子宮内膜症、骨盤内炎症性疾患などもリスク要因として指摘されています。卵巣は子宮頸がんや子宮体がんと違って細胞を採取しての検診を行うことが出来ません。超音波検査による定期的な検査をお勧めします。
乳がん
乳がんの多くは乳管から発生します。しこりとして見つかる前に周囲のリンパ節や他臓器に転移して見つかるケースもあります。乳がんも早期発見による適切な治療で良好な経過が期待できます。症状としては「乳房のしこり」「皮膚のひきつれ」「リンパ節の腫れ」などがありますが、これらがあったからといってすべて乳がんというわけではありません。乳がんも子宮体がんと同様にエストロゲンというホルモンが関与していることがわかっています。また喫煙や受動喫煙、乳がんの家族歴の関与も確実となっています。日本人女性の乳がん罹患数は年間 約90000人で増加の一途を辿っています。死亡数は約13000人といわれ、年齢別では30歳代から増加し始め、50歳前後でピークを迎えます。
当院にはマンモグラフィー機器がありませんのでマンモグラフィーは別医療機関にて受けて頂く必要があります。
各種検査料金のご案内
※料金はすべて税込み価格です。
| 子宮頸がん(細胞診) | ¥4,400 |
|---|---|
| 子宮頸がん検査+経腟超音波 | ¥8,800 |
| 子宮体がん検査(経腟超音波込) | ¥8,800 |
| 乳がん検診 | ¥4,400 |
※上記の他に初診料(または再診料)が必要となります(自費)。
治療後の方や病変のフォローアップ中の方、異常が疑われる方は保険適用となります。
住民検診(熊本市)
| 対象者 | 年度内に20歳以上の偶数年齢になる女性 (年度内…4/2生まれ〜翌年4/1生まれ) |
|---|---|
| 内容 | 問診・視診・内診・細胞診 |
| 料金 | ¥1,200 |
| 期間 | 年間を通して受診可能です。 |
| 備考 |
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住民検診(御船町)
| 対象者 | 20歳以上の女性 |
|---|---|
| 内容 | 問診・視診・内診・細胞診 |
| 料金 | ¥1,500 |
| 期間 | 10月〜翌年2月 |
| 備考 |
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※令和8年度からは、益城町の子宮がん検診も当院にて施行予定です。

性病検査
性感染症は誰もが発症しうる一般的な疾患です。まずなんらかの性交渉で感染した人から、パートナーも罹患してしまうという経路が多く見られます。「自分には関係ない」という意識があると正しい知識が持てず、適切な対応も困難になるので、まず正しく知ることが重要です。
明確な症状が現れる性感染症もありますが、初期症状が少ないものも存在します。そのため、自分自身とパートナーに何らかの症状が現れていないかを確認することがお互いを守ることになります。何らかの症状や懸念事項があれば、お気軽にご相談ください。
性感染症の主な症状
性感染症には主に次のような症状がみられます。
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帯下(おりもの)の異常
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陰部のかゆみ・痛み
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鼠径部のリンパ節の腫れ
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発熱
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全身にわたる発疹
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不妊
各種検査料金のご案内
| STIセットA(クラミジア、淋菌) | ¥4,500 |
|---|---|
| STIセットB(上記+梅毒、HIV) | ¥14,300 |
※料金はすべて税込み価格です。

Vaccination予防接種・ワクチン
当院では小学6年生以上に対して、子宮頸がん予防のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種を行っています。また、妊娠を考えている方には、風しんワクチンや麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)の接種を行っていますので、妊娠前にご利用ください。さらにインフルエンザワクチンも取り扱っています。
HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)

HPVワクチンは、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスの感染予防を目的としています。子宮頸がん発症の95%以上はHPV感染に起因するので、このワクチンの使用で子宮頸がんを発症するリスクを大きく低減できます。また、HPVは非常に多くの種類が存在するウイルスでもあり、肛門がんや外陰がん、陰茎がんや腟がんのほか口腔がんや咽頭がんの原因としても知られています。さらに、胎児への感染の懸念もあることから、男女双方に接種を促す国も存在しています。
26歳までにHPVワクチン接種を行うことで予防効果が上がりますし、初回の性交渉前の摂取が有効なので16歳前の摂取を推奨します。また、45歳までは効果があるため、26歳以降でもぜひご利用ください。ワクチンは複数ありますが、3回の摂取(初回接種、2か月後、6か月後)が基本です。
リスク・注意事項
- HPVワクチン接種は事前予約制としていますが、在庫があれば当日接種も可能です。まずはお電話にてご相談ください。
- サーバリックス(2価ワクチン)やガーダシル(4価ワクチン)を初回、2回目まで摂取している方でも、それ以降をシルガード9(9価ワクチン)にご指定いただくことも可能です。
- ワクチンは感染予防を目的とするものであり、発症している疾患への治療効果はありません。
- ワクチン接種の有無によらず、20歳以降は2年毎の子宮がん検診を推奨します(HPV検査を併用すれば検診のスパンをのばすことも可能です)。
料金のご案内
| 9価(シルガード®︎9) 対象:9歳以上の女性 |
¥33,000 |
|---|
※料金はすべて税込み価格です。
風しんワクチン・麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)
妊娠期間中に風疹を発症すると胎児に感染するリスクがあります。特に妊娠初期はリスクが高めですが、これらはワクチンによる予防が可能です。感染した場合、胎児が先天性風疹症候群(難聴や心臓疾患、白内障などの総称)を発症する可能性があることを踏まえて、妊娠を予定されている方やそのご家族は風疹ワクチンの利用をご検討ください。
注意事項
- 接種は事前予約制としており、予約なしでの接種はできません。またオンラインでの予約も行っておりませんのでご注意ください。
- 接種後は発疹や発熱、じんましんなどの副反応が出ることがありますが、多くは日数の経過とともに解消します。
- 現在妊娠している方や妊娠している可能性がある方には接種を行っておりません。
- ワクチン接種後2ヶ月は避妊する必要があります。
料金のご案内
| 風しんワクチン | ¥4,400 |
|---|---|
| 麻しん風しん混合ワクチン (MRワクチン) |
¥11,000 |
※料金はすべて税込み価格です。
帯状疱疹ワクチン
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスで発症する感染症です。このウイルスは水ぼうそうを起こすウイルスであること、成人した日本人の9割以上の体内に潜伏していることなどが大きな特徴です。潜伏していても発症するとは限りませんが、疲労や加齢、免疫力の低下などで発症リスクが高まります。初期症状は皮膚に痛みが起こりますが、やがて激しい痛みを伴い、水膨れや赤い発疹も見られます。ワクチンで帯状疱疹と合併症の予防が可能です。
料金のご案内
| 生ワクチン | ¥9,800 |
|---|---|
| 不活化ワクチン | ¥22,000(要2回接種) |
※料金はすべて税込み価格です。
インフルエンザワクチン
インフルエンザは頭痛や38℃以上の発熱、筋肉痛や関節痛、倦怠感などが急速に現れる疾患です。また、咳や鼻水、のどの痛みなども伴うことがあるので風邪と勘違いされることもあります。
季節性インフルエンザは感染性が高いことから短期間で広がりやすい特徴をもっています。日本では12~3月の寒い時期に流行しがちです。
当院では流行の時期を踏まえて10~12月にインフルエンザワクチンの接種を行っていますので、ご利用を希望される方はまずご連絡ください。
実施期間
当院では毎年10~12月にワクチン接種を行っています。
料金のご案内
| インフルエンザワクチン | ¥4,400 |
|---|
※料金はすべて税込み価格です。
RSウイルスワクチン(アブリスボ)
RSウイルスは世界中のほぼすべての人が2歳までに感染するほど一般的なウイルスです。乳幼児に多くみられる呼吸器感染症の要因として知られており、生後6ヶ月未満で感染した場合重症化しやすいので注意が必要です。日本国内では2歳児未満の乳幼児が例年12~14万人もRSウイルス感染症の診断を受けていますし、その中の25%程度は入院を必要とします。これらの点を踏まえて、RSウイルスを正しく知ることや予防を考えることが重要です。
アブリスボはRSウイルス感染症予防に役立つワクチンです。妊娠中に摂取することで、母体内にウイルスに対抗する機能をもつ抗体が生成され、胎児にも移行します。これによって、生後間もなく免疫力が不十分な状態の赤ちゃんでもRSウイルス感染症を予防しやすくなります。
ここまでの記述でRSウイルス感染症は乳幼児の疾患と思われたかもしれませんが、年齢が上がるとともに発症リスクが上がることも知られています。高齢の方の場合肺炎などの呼吸器疾患が重症化しやすいため、高齢者に対するRSワクチン接種も行っています。
接種対象者
当院では、以下の方を対象にワクチン接種を行っています。
妊娠中の方:妊娠28~妊娠36週
非妊婦の方:60歳以上
料金のご案内
| インフルエンザワクチン | ¥32,000 |
|---|
※料金はすべて税込み価格です。
※接種をご希望の方は事前に電話予約をお願いします。
