ブログ
ジエノゲストで不正出血が続く…いつまで?そのまま飲んで大丈夫?
「飲み始めてからの出血」はよくあることです
「ジエノゲストを飲み始めてから、出血がずっと続いています」
「生理が終わったと思ったのに、また少し出血しました」
「薬が合っていないのでしょうか? このまま飲み続けても大丈夫ですか?」
ジエノゲストを処方していると、このようなご相談をよく受けます。
ジエノゲストは、子宮内膜症や子宮腺筋症などの治療に広く使われている薬です。一方で、服用中の不正出血は非常によくみられる症状の一つです。
特に飲み始めてしばらくの間は、少量の出血が続いたり、一度止まったと思った出血がまた始まったりすることがあります。
多くの場合、治療を続けるうちに出血は少なくなっていきますので、「出血した=薬が効いていない」「すぐに薬をやめなければならない」というわけではありません。
ただし、すべての出血を「ジエノゲストの副作用だから」と考えてよいわけでもありません。
今回は、ジエノゲストを服用しているとどうして出血するのか、どのくらい続くことがあるのか、そしてどんなときに婦人科へ相談した方がよいのかについてお話しします。
そもそもジエノゲストはどんな薬?
ジエノゲストは、黄体ホルモン(プロゲスチン)製剤の一つです。
子宮内膜症では、女性ホルモンであるエストロゲンが病変の活動に関係しています。
ジエノゲストは卵巣機能や子宮内膜症の病変に作用し、エストロゲンの影響を抑えることで、月経痛や骨盤痛などの症状を改善します。
また、子宮腺筋症に伴う痛みの治療にも使用されています。
低用量ピルとは異なり、ジエノゲストにはエストロゲンが含まれていません。
そのため、月経が規則的に毎月来るという状態ではなくなり、服用中は出血のパターンが大きく変わることがあります。
ジエノゲストでは不正出血は珍しくありません
ジエノゲストを服用していて不正出血が起こると、
「私だけでしょうか?」
と心配される方もいらっしゃいます。
しかし、不正出血はジエノゲストでは非常によくみられます。
ジエノゲスト1mgの添付文書では、臨床試験において**不正子宮出血が88.3%**に認められたとされています。
つまり、不正出血は「ごく一部の人だけに起こる珍しい副作用」ではありません。
特に治療を始めたばかりの時期には、
- 少量の出血が何日も続く
- 出血したり止まったりを繰り返す
- 生理のような出血が起こる
- 茶色っぽい出血が続く
といったことがあります。
こうした出血があるだけで、ジエノゲストが体に合っていない、あるいは治療が失敗しているということではありません。
なぜジエノゲストを飲むと出血するの?
ジエノゲストを服用すると、エストロゲンの作用が抑えられ、子宮内膜は次第に薄くなっていきます。
一方で、薄くなっていく途中の子宮内膜は不安定になり、部分的に剥がれて出血することがあります。
そのため、通常の月経とは少し違って、
「量はそれほど多くないけれど、ダラダラと長く続く」
という出血になることがあります。
患者さんからすると、
「こんなに長く出血していて大丈夫なの?」
と不安になると思います。
しかし、このような出血パターンはジエノゲスト治療では珍しいものではありません。
出血はずっと続くのでしょうか?
ここが、ジエノゲストを飲み始めた患者さんにぜひ知っておいていただきたいところです。
多くの場合、治療を続けるにつれて出血は少なくなっていく傾向があります。
国内で行われた52週間の臨床試験では、性器出血があった患者さんの割合は、
| 治療期間 | 性器出血があった患者さん |
|---|---|
| 8週 | 92.6% |
| 24週 | 75.6% |
| 52週 | 59.5% |
と、治療期間が長くなるにつれて減少しました。
さらに、出血した日数の平均も、
| 治療期間 | 平均出血日数 |
|---|---|
| 8週 | 18.7日 |
| 24週 | 11.3日 |
| 52週 | 6.4日 |
と減少しています。
もちろん、すべての方がこの通りになるわけではありません。
それでも、
「飲み始めの頃は出血が多かったけれど、何か月か続けているうちに少なくなってきた」
という経過は、ジエノゲスト治療ではよくみられるものです。
「出血がある=薬が効いていない」ではありません
出血が続くと、
「薬が効いていないのでは?」
「一度薬をやめた方がいいのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし、不正出血の有無だけでジエノゲストの治療効果を判断することはできません。
ジエノゲスト治療の目的は、「出血を完全になくすこと」だけではありません。
子宮内膜症や子宮腺筋症による月経痛、骨盤痛などを改善し、病変の活動を抑えていくことが治療の大切な目的です。
そのため、少量の出血があるという理由だけで自己判断で薬を中止してしまうのはおすすめできません。
出血が気になる場合には、薬を中止する前に処方した医師へ相談してください。
ただし、こんな出血はご相談ください
一方で、
「ジエノゲストでは出血することがあるから、どんな出血でも大丈夫」
というわけではありません。
次のような場合には婦人科へご相談ください。
- 出血量が明らかに多い
- 多い出血が何日も続く
- 少量でも非常に長期間、ほとんど途切れず出血している
- 大きな血のかたまりが何度も出る
- めまい、動悸、息切れ、強いだるさなどがある
- これまで少なかった出血が急に増えた
- 強い腹痛など、出血以外の症状を伴っている
ジエノゲストの添付文書でも、出血量が多く持続日数が長い場合や、一度に大量の出血が起こった場合には医師へ相談するよう注意喚起されています。
出血が長く続くことで、貧血になることもあります。
めまい、動悸、息切れ、疲れやすさなどがある場合には、血液検査でヘモグロビン値などを確認することがあります。
子宮筋腫や子宮腺筋症がある方は特に注意することも
ジエノゲストを使用する方の中には、子宮内膜症だけではなく、子宮筋腫や子宮腺筋症を合併している方もいらっしゃいます。
特に子宮筋腫がある場合には、ジエノゲスト服用中の不正出血が増えることがあり、まれに大量出血を起こす可能性があります。
また、子宮腺筋症では、もともと月経量が多く貧血がある方も少なくありません。
そのため、
子宮の状態、もともとの出血量、貧血の程度などを確認しながら治療を選択することが大切です。
必要に応じて超音波検査や血液検査を行いながら経過をみていきます。
「ジエノゲストを飲んでいるから」と決めつけないことも大切です
もう一つ大切なことがあります。
ジエノゲストを服用している方に不正出血が起きたとしても、すべての出血が薬によるものとは限りません。
年齢や症状によっては、
子宮頸部の病変、子宮内膜ポリープ、子宮筋腫、子宮内膜の病変など、別の原因による出血が隠れていないか確認する必要があります。
特に、これまでと明らかに出血の様子が変わった場合や、長期間出血が続く場合には、
「ジエノゲストを飲んでいるから仕方がない」
と自己判断せず、一度婦人科で相談してください。
出血とうまく付き合いながら治療を続けるために
ジエノゲストは、子宮内膜症や子宮腺筋症の痛みに対して有用な治療薬です。
一方で、不正出血が起こりやすいことは、この薬を使ううえであらかじめ知っておきたい特徴の一つです。
特に服用開始後しばらくは、
「少量だけれど出血が長く続く」
「止まったと思ったら、また出血する」
ということがあります。
しかし、治療を続けるにつれて、出血する日数や量が少なくなっていく方も多くいらっしゃいます。
ですから、少量の出血が続いたからといって、必要以上に心配する必要はありません。
一方で、出血量が多い、長期間止まらない、貧血を疑う症状がある場合には、我慢せずご相談ください。
ジエノゲスト治療では、出血の状態だけでなく、痛みがどの程度改善しているか、貧血がないか、子宮や卵巣の状態はどうかなどを確認しながら、その方に合った治療を続けていくことが大切です。