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生理が来ない・バラバラでも大丈夫?―月経不順とPCOSのお話

生理不順、「いつものこと」で済ませていませんか?

「生理が2〜3か月来ていないんですが、大丈夫でしょうか?」

「昔から生理不順なので、体質だと思っています」

婦人科では、このようなご相談をよく受けます。

月経周期は多少ずれることがありますし、仕事が忙しかったり、体重が変わったり、強いストレスがかかったりすると、一時的に生理が遅れることもあります。

ただ、生理が何か月も来ない状態や、毎回かなり周期がばらつく状態を「体質だから」とそのままにしてよいとは限りません。

特に20代から30代は、妊娠や将来の妊娠希望とも関係してくる年代です。

今回は、月経不順の原因の一つである**PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)**について、外来でよく聞かれる質問に沿ってお話しします。

「2〜3か月生理が来ない」だけで受診していいですか?

もちろん大丈夫です。

まず確認したいのは、妊娠の可能性がないかということです。

20代では性生活が活発な方も多く、もともと月経周期が不規則だと、

「いつもの生理不順だと思っていたら妊娠していた」

ということもあります。

生理が毎月きちんと来ている方なら、「予定日を過ぎた」という変化に気づきやすいのですが、普段から2か月来なかったり、周期が40日、50日とばらばらだったりすると、妊娠に気づくタイミングが遅れることがあります。

性交の機会があり、生理が予定より遅れている場合には、まず妊娠の可能性を考えることが大切です。

そのうえで妊娠ではなければ、なぜ月経が来ていないのかを調べていきます。

生理が来ない原因はPCOSだけですか?

いいえ。

月経不順や無月経には、さまざまな原因があります。

たとえば、

  • 強いストレス
  • 急激な体重減少や体重増加
  • 過度な運動
  • 甲状腺の病気
  • プロラクチンというホルモンの異常
  • 卵巣機能の低下
  • PCOS

などがあります。

そのため、

「生理が来ない=PCOS」ではありません。

月経の状態や年齢、体重の変化、超音波検査、血液検査などを合わせて原因を考えていきます。

PCOSってどんな病気ですか?

PCOSは、排卵がうまく起こりにくくなることで、月経不順や無月経につながることがある病気です。

卵巣の中では毎月いくつかの卵胞が育ち、その中から通常は一つが大きくなって排卵します。

ところがPCOSでは、卵胞が途中まで育っても、その先の排卵まで進みにくくなることがあります。

その結果、

  • 生理の間隔が長くなる
  • 2〜3か月生理が来ない
  • 年に数回しか生理が来ない
  • 排卵の時期が分かりにくい

といったことが起こります。

超音波検査で卵巣を見ると、小さな卵胞がたくさん見えることがあります。

ただし、超音波で小さな卵胞が多いだけでPCOSと決まるわけではありません。

月経の状態やホルモン検査なども合わせて判断します。

PCOSはどうやって調べるのですか?

まず、これまでの月経周期についてお聞きします。

「何日くらいの周期なのか」
「何か月生理が来ないことがあるのか」
「昔から不順なのか、最近変わってきたのか」

といったことが重要です。

必要に応じて超音波検査で子宮や卵巣を確認します。

また、血液検査では、

  • LH・FSHなど排卵に関係するホルモン
  • 男性ホルモン
  • プロラクチン
  • 甲状腺に関係するホルモン

などを調べることがあります。

状況によってはAMHという検査を参考にする場合もあります。

一つの検査だけで診断するのではなく、月経の状態・超音波・血液検査を組み合わせて考えるのが基本です。

20代なら、生理不順はそれほど気にしなくてもいい?

「まだ妊娠は考えていないから、生理不順でも困らない」

と思われる方もいらっしゃいます。

ただ、20代では先ほどお話ししたように、妊娠に気づきにくくなることが一つの問題です。

また、何か月も排卵が起こらず月経が来ない状態が続くと、子宮内膜が長期間刺激を受け続けることがあります。

そのため、妊娠を希望していない場合でも、

「何か月も生理が来なくても放っておいて大丈夫」というわけではありません。

必ず毎月ぴったり生理を起こさなければならないという意味ではありませんが、長期間来ない場合には一度状態を確認しておくことをおすすめします。

30代になると、妊娠との関係が気になってきます

30代になると、

「そろそろ妊娠を考えています」

という相談が増えてきます。

そのとき、以前から生理不順がある方では、

「ちゃんと排卵しているのか」

が重要になります。

月経が不規則でも、排卵していることはあります。

一方で、PCOSなどによって排卵の回数が少なくなっている場合には、妊娠できるタイミングそのものが少なくなります。

たとえば、毎月排卵する方なら1年間に妊娠できるチャンスはおおよそ12回あります。

しかし、月経が2〜3か月に1回しか来ず、そのたびに排卵しているとは限らない場合、妊娠できる機会は少なくなります。

PCOSだと妊娠できないのでしょうか?

これはよく心配されることですが、

PCOS=妊娠できない

という意味ではありません。

PCOSの方でも自然に排卵し、妊娠される方はたくさんいます。

ただ、排卵が不規則だと、

「いつタイミングを取ればよいのか分からない」
「排卵していると思っていたけれど、実際には排卵していなかった」

ということが起こります。

特に30代半ば以降になると、PCOSだけではなく年齢による妊娠率の変化も考える必要があります。

そのため、

昔から生理不順だったけれど、妊娠を考え始めて初めて婦人科を受診した

という場合には、必要に応じて少し早めに排卵の状態を確認することがあります。

超音波で卵胞が育っているかを確認したり、ホルモン検査を行ったりしながら、今後の方針を考えていきます。

妊娠を希望していない場合でも治療が必要ですか?

すべての方が同じ治療を必要とするわけではありません。

たとえば、月経が多少不規則でもある程度の間隔で来ており、検査でも問題がなければ、経過を見ることもあります。

一方で、何か月も月経が来ない場合には、薬を使って月経のような出血を起こすことがあります。

また、

  • 月経周期を整えたい
  • 生理痛も改善したい
  • ニキビなどの症状も気になる

といった場合には、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬などを検討することもあります。

体重増加や肥満が関係しているPCOSでは、生活習慣の改善によって排卵や月経周期が改善することもあります。

治療は、年齢、症状、妊娠希望の有無によって変わります。

妊娠を希望している場合は治療が変わりますか?

変わります。

妊娠を希望していない時期の治療では、月経周期を整えたり、子宮内膜を守ったりすることが主な目的になります。

一方、妊娠を希望している場合には、

「排卵しているか」「卵胞が育っているか」

を確認することが重要になります。

必要に応じて排卵を促す治療を行うこともあります。

そのため、

「これまでずっと生理不順だったけれど、そろそろ妊娠したい」

という方は、必ずしも長期間待ってから相談する必要はありません。

月経周期がかなり不規則な場合には、早めに婦人科で排卵の状態を確認しておくことも一つの方法です。

「昔から生理不順だから」と思っている方へ

月経不順は、痛みも出血もないため、困っていなければそのままになりやすい症状です。

しかし、年代によって注意したいことが少しずつ変わります。

20代では、妊娠に気づくのが遅れること

30代になると、将来の妊娠に向けて排卵しているか確認すること

そして30代半ば以降では、月経不順と年齢の両方を考えながら妊娠について相談することが重要になってきます。

また、年齢に関係なく、何か月も月経が来ない状態を長期間そのままにしておくことはおすすめできません。

「生理が来ないだけで婦人科に行っていいのかな?」

と思わず、

  • 3か月近く生理が来ていない
  • 周期がいつもかなりばらばら
  • 年に数回しか生理が来ない
  • 最近急に月経周期が変わった
  • 妊娠を考え始めたが排卵しているか分からない

といった場合には、一度ご相談ください。

「昔からこうだから体質」と決めつけず、今の自分の体がどんな状態なのかを知ることが、これからの健康管理や妊娠を考えるうえでも大切です。