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生理の量、これって多い?婦人科でよく聞く過多月経の質問|受診の目安と治療
「先生、生理の量が多い気がするんですが、これって普通ですか?」
婦人科の診察では、このようなご相談をよく受けます。
ところが、生理の量について詳しくお話を聞いてみると、
「多いとは思います。でも昔からこんな感じです」
「ほかの人がどのくらい出るのか分からないので……」
と答えられる方も少なくありません。
考えてみれば、生理の量をほかの人と比べる機会はほとんどありません。そのため、実際には月経量がかなり多くても、**「私にとってはこれが普通」**と思って過ごしていることがあります。
今回は、実際の外来でよく聞かれる質問に沿って、過多月経のサイン、原因、貧血との関係、婦人科で行う検査や治療についてお話しします。
Q1.「生理の量が多い」とは、どのくらいですか?
医学的には、月経による出血量が異常に多い状態を過多月経と呼びます。
ただし、ご自宅で毎回の経血量を正確に測ることは現実的ではありません。
そのため診察では、出血量の数字だけではなく、生理によって日常生活にどのくらい影響が出ているかも大切にしています。
たとえば、
- 昼間でも夜用ナプキンを使うことがある
- 1~2時間程度でナプキンを交換しないと不安
- 夜中に交換しないと漏れてしまう
- 衣服や寝具を汚してしまうことがある
- 大きな血の塊が何度も出る
- 出血が心配で外出や仕事、学校の予定を調整している
といったことはありませんか?
一つだけ当てはまれば過多月経というわけではありませんが、こうした状態が続いている場合には、月経量が多くなっている可能性があります。
**「何mL出血したか」よりも、「生理のために普段の生活が制限されていないか」**を一度振り返ってみてください。
Q2.量はそれほど多くないのですが、ダラダラ長く続きます
これも婦人科でよく受けるご相談です。
「今回の生理が10日以上続いています」
「少しずつですが、なかなか出血が止まりません」
という方もいらっしゃいます。
月経の問題というと「量」ばかりに目が向きがちですが、出血が続く期間も大切です。
大量出血ではなくても、いつもの生理より明らかに長く続いている場合には、一度原因を確認したほうがよいことがあります。
また、長期間ナプキンを使用することで、外陰部がかぶれたり、ヒリヒリした痛みが出たりすることもあります。
「大量ではないから大丈夫」と我慢せず、普段とは違う出血が続くときはご相談ください。
Q3.最近、疲れやすくてふらつきます。生理と関係ありますか?
関係していることがあります。
月経量が多い状態が続くと、毎月の出血によって少しずつ鉄が失われ、鉄欠乏や鉄欠乏性貧血になることがあります。
たとえば、
- 最近、疲れやすい
- 体がだるい
- 階段を上ると息切れする
- 動悸がする
- 立ちくらみやふらつきがある
- 健康診断で貧血を指摘された
といった症状や指摘があれば、月経との関係も考えてみる必要があります。
ただし、ふらつきや疲労にはさまざまな原因がありますので、症状だけで「貧血だ」と判断することはできません。
血液検査を行えば、貧血の有無を確認することができます。
Q4.貧血が治れば、もう大丈夫ですか?
ここも大切なポイントです。
血液検査でヘモグロビンの値が正常に戻っても、体の中に蓄えている鉄がまだ十分に回復していないことがあります。
鉄は、いわば体の中に蓄えておく「貯金」のようなものです。
この貯蔵鉄の状態をみる検査の一つがフェリチンです。
月経量が多い方の場合、鉄剤を飲んで一時的に貧血が改善しても、その後も毎月大量の出血が続けば、再び鉄が不足してしまうことがあります。
そのため、
「貧血を治すこと」だけではなく、「なぜ毎月たくさんの鉄を失っているのか」を確認すること
も大切です。
Q5.昔から生理が多いので、「体質」ではないのですか?
診察室でとてもよく聞く言葉です。
もちろん、月経量には個人差があります。
しかし、
「昔から多い=問題がない」
とは限りません。
月経量が多くなる背景には、たとえば、
- 子宮筋腫
- 子宮腺筋症
- 子宮内膜ポリープ
- 排卵やホルモンバランスの変化
など、さまざまな原因があります。
一方で、超音波検査などをしても、子宮や卵巣に明らかな異常が見つからないこともあります。
大切なのは、自分で「体質だから」と決めつけるのではなく、出血が多くなっている原因がないか、一度確認してみることです。
特に、
- 以前より明らかに月経量が増えた
- 出血する期間が長くなってきた
- 月経周期が変わってきた
- 生理以外の時期にも出血する
という場合には、婦人科で確認しておくことをおすすめします。
Q6.婦人科を受診すると、どんなことをしますか?
「生理が多いだけで婦人科に行っていいのかな?」
と思われる方もいらっしゃいます。
もちろん、受診していただいて大丈夫です。
診察ではまず、
「生理は何日くらい続くのか」
「どのくらいの頻度でナプキンを交換するのか」
「大きな血の塊は出るのか」
「生理痛は強いのか」
「以前と比べて変化しているか」
などを確認します。
必要に応じて超音波検査を行い、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープなど、出血の原因となる病変がないかを確認します。
月経量が多い場合には、血液検査で貧血や鉄欠乏の有無を調べることもあります。
さらに年齢や出血の状態、超音波検査の結果などによっては、追加の検査をご提案することがあります。
すべての方に同じ検査をするわけではありません。
その方の年齢や症状に合わせて、必要な検査を考えていきます。
Q7.過多月経は治療できますか?
治療方法はあります。
そして、すべての方に同じ治療をするわけではありません。
治療法は、
- 出血の原因
- 貧血の程度
- 年齢
- 月経痛など、ほかの症状
- 妊娠を希望しているか
- 今後のライフプラン
などを考えながら選択します。
鉄欠乏や貧血があれば、鉄剤などで不足した鉄を補います。
また、症状や原因に応じて、
- 出血量を減らすための薬
- 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)などのホルモン治療
- 子宮内に装着するLNG-IUS(ミレーナ)
- 子宮筋腫や子宮内膜ポリープなど、原因となる病気に対する治療
などを検討することがあります。
どの治療が適しているかは、一人ひとり違います。
だからこそ、単に貧血だけを治療するのではなく、「なぜ生理が多いのか」を調べたうえで治療方法を考えることが大切です。
「生理だから仕方ない」と我慢しないでください
毎月のことなので、
「昔からこうだから」
「生理なんだから仕方ない」
「みんなもこのくらい我慢しているのでは?」
と思ってしまうかもしれません。
でも、生理の量はほかの人と比べることができません。
昼間でも夜用ナプキンが必要になる、何度も漏れてしまう、大きな血の塊がたくさん出る、出血が長く続く、生理のたびに体調が悪くなる――。
そうした症状があるのであれば、一度婦人科で相談してみる価値があります。
そして、
「自分の生理が多いのかどうか、よく分からない」
という相談でも大丈夫です。
原因を調べて何も問題がなければ、それも一つの安心材料になります。
一方で、原因が見つかったり貧血が分かったりすれば、それに応じた治療を考えることができます。
生理は毎月繰り返すものだからこそ、「我慢するもの」と決めつけず、少しでも負担を減らして普段どおりの生活を送ることを大切にしていただければと思います。