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娘の生理、つらそうだけど大丈夫?

娘さんの生理、こんな様子はありませんか?

生理がくるたびに鎮痛薬を飲んでいる。
朝なかなか起きられず、学校を休んだり遅刻したりする。
体育や部活動を休むことがある。
生理の日はいつも横になっている。

娘さんに、こんな様子はありませんか?

「生理痛は誰にでもあるものだから」
「私も若いころは痛かったから、このくらい普通かな」
「大人になれば、そのうち落ち着くのでは?」

そう考えてしまうこともあるかもしれません。

実際、月経痛は10代の女性にも非常によくみられます。国内の高校生を対象とした調査では、約9割の女子が月経痛を経験していたと報告されています。

でも、ここで知っておいていただきたいことがあります。

「多くの人に生理痛がある」ことと、「つらくても我慢してよい」ことは同じではありません。

今回は、娘さんの生理について保護者の方に気づいていただきたいサインと、婦人科へ相談する目安についてお話しします。


生理痛は「どれくらい痛いか」だけで考えない

生理痛には個人差があります。

同じような痛みでも、「大丈夫」と感じる人もいれば、とてもつらく感じる人もいます。そのため、痛みの強さだけで「正常」「異常」を分けることはできません。

そこで一つの目安になるのが、普段の生活にどのくらい影響しているかです。

生理のために学校を休んだり、授業に集中できなかったり、体育や部活動に参加できなかったりしていないでしょうか。夜眠れないほど痛む、鎮痛薬を飲んでも十分に楽にならない、生理のたびに寝込んでしまうという場合もあります。

このように、生理の症状によって普段どおりの生活ができなくなっているのであれば、「生理だから仕方ない」と我慢せず、婦人科に相談してよいサインです。


生理痛だけでなく、出血や生理周期にも目を向けてください

保護者の方に気づいていただきたいのは、生理痛だけではありません。

例えば、夜用のナプキンを使っても短時間で交換しなければならないほど出血が多い、生理が長く続く、月経と月経の間にも出血する、生理が何か月も来ない、といった変化です。

初経を迎えて間もない時期には、排卵がまだ安定せず、月経周期が不規則になることがあります。

しかし、「10代だから生理不順でも大丈夫」とすべてを年齢のせいにしてよいわけではありません。

月経不順の背景に、体重の大きな変化、過度な運動、ストレス、ホルモンの異常、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)などが関係していることもあります。

生理痛だけでなく、**「出血量」「生理が続く日数」「生理が来る間隔」**も、ときどき確認してみてください。


強い生理痛の背景に「子宮内膜症」が隠れていることも

10代の生理痛の多くは、子宮や卵巣に明らかな病気がない「機能性(原発性)月経困難症」です。

しかし、痛みがとても強い場合や、治療をしても症状が続く場合には、子宮内膜症などの病気が隠れていることがあります。

子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が、本来とは違う場所にできる病気です。

「大人の女性の病気」というイメージがあるかもしれませんが、若い年代でも発症することがあります。

そして、ここは保護者の方にもぜひ知っておいていただきたいところです。

子宮内膜症は、「生理のときに痛い」というだけの病気ではありません。


子宮内膜症は将来の健康にも関係します

子宮内膜症が進行すると、卵巣に病変ができることがあります。これが、いわゆる**「チョコレート嚢胞(卵巣子宮内膜症性嚢胞)」**です。

また、子宮内膜症は将来の**妊娠しにくさ(不妊症)**とも関係することが知られています。

さらに長期的にみると、子宮内膜症のある女性では、一部の卵巣がんの発症リスクがやや高いことも報告されています。

ただし、ここは誤解しないでください。

子宮内膜症になったら卵巣がんになる、という意味ではありません。

リスクは統計学的には上昇しますが、実際に卵巣がんを発症する絶対的なリスクは低いとされています。必要以上に怖がる必要はありません。

また近年では、子宮内膜症のある女性では、将来の心血管疾患や脳血管疾患もやや多いことが報告されています。

これらについては、子宮内膜症そのものが直接の原因なのか、炎症やほかの要因が関係しているのかなど、まだ研究が続いている部分もあります。

つまり、

「生理痛 → 子宮内膜症 → 不妊症 → がん」

と必ず進んでいくわけではありません。

そして、「生理痛がある=子宮内膜症」でもありません。

お伝えしたいのは、若いころから続く強い生理痛を、何年も「体質だから」「みんな痛いから」と放置しないでほしい、ということです。


10代で婦人科へ行ったら、内診をされるの?

娘さんに婦人科受診を勧めようとしたとき、

「婦人科って何をされるの?」
「内診が怖い」
「まだ高校生なのに婦人科に行くの?」

と本人が不安になることがあります。

保護者の方も、「10代の娘を婦人科へ連れて行っていいのかな」と迷われるかもしれません。

もちろん、10代でも生理について困っていれば婦人科に相談できます。

そして、婦人科を受診したからといって、必ず内診をするわけではありません。

まず、生理がいつ始まったのか、周期はどのくらいなのか、どんな症状があるのか、学校生活にどの程度影響しているのかなどをお聞きします。

必要に応じて、お腹の上から行う超音波検査など、年齢や症状に応じた方法で診察します。

「婦人科=必ず内診」ではありません。

このことをあらかじめ娘さんに伝えておくだけでも、受診への不安は少し小さくなると思います。


生理痛には治療方法があります

生理痛は、ただ我慢するしかないものではありません。

症状に応じて鎮痛薬を使用したり、必要であればLEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)などを使って月経痛を軽くする治療を行うこともあります。

「10代なのにピルを使って大丈夫なの?」と心配される保護者の方もいらっしゃるでしょう。

LEPは避妊だけを目的とした薬ではなく、月経困難症の治療薬として使われているものがあります。

どの治療が適しているかは、年齢、症状、持病、月経の状態などによって異なります。まずは現在どの程度困っているのかを確認し、その方に合った方法を一緒に考えていきます。


「我慢しなさい」ではなく「一度相談してみようか」

思春期の娘さんにとって、生理について家族に話すことは意外と難しいものです。

「生理痛は大丈夫?」と聞かれても、「大丈夫」と答えてしまうかもしれません。

だからこそ、言葉だけでなく、

生理になると学校を休んでいないか。
いつも鎮痛薬を探していないか。
生理の日は食欲がなくなったり、寝込んだりしていないか。
出血が多くて困っていないか。

そんな普段の様子にも目を向けてみてください。

そして、つらそうな様子があれば、

「生理なんだから我慢しなさい」ではなく、「そんなにつらいなら、一度相談してみようか」

と声をかけていただければと思います。

婦人科は、妊娠した人や大人の女性だけが受診する場所ではありません。

生理について困ったときにも相談できる場所です。

10代のころから自分の月経について知り、困ったときには相談する。その習慣は、今の学校生活だけでなく、将来の妊娠や健康を考えるうえでも大切なことです。