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麻疹(はしか)にご注意ください

麻疹、いわゆる「はしか」は、子どもの病気というイメージを持たれがちですが、大人がかかることもあります。特に妊娠中の方、妊娠を考えている方、ご家族に妊婦さんがいる方にとっては、注意が必要な感染症です。
 

東京都では、今年に入って麻疹の報告が増えています

東京都感染症情報センターは、2026年4月23日時点で「麻しんが増加しています」と注意喚起しています。東京都の2026年の流行状況では、週ごとの報告数や年齢階級別の報告数などが公表されており、都内同一施設で2名以上の発症者があった集団発生事例も報告されています。

また、東京都の資料では、麻疹は空気感染、飛沫感染、接触感染で広がり、免疫を持っていない人が感染者と接すると、ほぼ100%感染すると説明されています。典型的には、約10〜12日間の潜伏期間のあと、発熱・咳・鼻水・目の充血などの風邪のような症状が出て、その後39℃以上の高熱と発疹が出現します。

東京都の報告では、2026年3月17日12時時点で、都内の麻疹累計報告数は34件となり、すでに2025年1年間の報告数34件と並んでいました。さらに、2月以降は海外渡航歴のない方を含めて患者数が増加しているとされています。

当院のある地域で大きな流行が確認されていない場合でも、人の移動が多い時期や、旅行・出張・帰省の後には注意が必要です。特に妊娠中の方はMRワクチンを接種できないため、発熱・発疹・咳・鼻水・目の充血などがあり、麻疹の可能性が少しでも心配な場合は、直接来院せず、まずお電話でご相談ください。
 

妊娠中に麻疹にかかるとどうなるの?

妊娠中に麻疹にかかると、一般的に重症化しやすいとされています。また、流産・死産・早産の頻度が上がるとの報告があります。

一方で、風疹のように「赤ちゃんに先天的な形の異常を起こす感染症」とは異なるとされています。ただし、妊娠経過への影響や、分娩時期に感染した場合の新生児麻疹などが問題になることがあります。

つまり、麻疹は「赤ちゃんの形の異常が心配」というよりも、お母さん自身が重症化しやすいこと、妊娠経過に影響する可能性があることが重要です。
 

妊娠中はMRワクチンを接種できません

麻疹の予防には、麻疹・風疹混合ワクチンであるMRワクチンが使われます。しかし、MRワクチンは「生ワクチン」のため、妊娠中は接種できません。

そのため、妊娠を考えている方は、できれば妊娠前に母子手帳などでワクチン接種歴を確認しておくことが大切です。

特に、次のような方は早めに確認しておきましょう。

  • 麻疹にかかったことがない
  • 麻疹ワクチンを受けたか分からない
  • MRワクチンが1回だけかもしれない
  • 母子手帳が手元になく確認できない
  • ご家族や上のお子さんの接種歴が分からない

このような場合は、抗体検査やワクチン接種について医療機関に相談しましょう。
 

妊婦さん本人だけでなく、ご家族の予防も大切です

妊娠中の方はワクチンを打てないため、周囲の方が麻疹を持ち込まないことがとても大切です。

特に、同居しているご家族、パートナー、上のお子さん、妊婦さんと接する機会の多い方は、ご自身の麻疹ワクチン接種歴を確認しておきましょう。

日本小児科学会も、2026年に国内で麻疹の報告数が急増しているとして注意喚起を行い、2回のワクチン接種によって高い予防効果が見込まれること、接種歴が不明な方や2回接種を完了していない方は任意接種を検討してほしいことを示しています。

妊婦さんを守るためには、妊婦さん本人だけでなく、周囲の方が免疫を持っていることが大切です。これは「コクーン戦略」と呼ばれる考え方で、赤ちゃんや妊婦さんを周囲の免疫で包み込むように守る方法です。
 

麻疹かもしれないと思ったら、直接来院せず、まず電話を

麻疹は感染力が非常に強いため、発熱や発疹があり、麻疹が疑われる場合は、直接クリニックへ来院せず、まずお電話でご相談ください。

特に、以下のような場合は注意が必要です。

  • 高熱がある
  • 咳、鼻水、目の充血がある
  • 発疹が出てきた
  • 麻疹患者さんと接触した可能性がある
  • 流行地域への移動歴がある
  • 海外渡航後に発熱した
  • 家族や職場、学校などで麻疹が疑われる人がいる

東京都の情報でも、麻疹は発疹が出る前の時期に感染力が最も強いとされています。つまり、「まだ発疹がないから大丈夫」とは言い切れません。発熱や咳、鼻水、目の充血などの症状があり、麻疹が心配な場合は、受診前に必ず医療機関へ連絡してください。

麻疹が疑われる状態で待合室に入ってしまうと、他の妊婦さんや赤ちゃん、免疫の弱い方に感染を広げてしまう可能性があります。

受診が必要な場合でも、来院時間や待機場所を調整することがあります。妊婦さんと赤ちゃんを守るためにも、必ず事前にご連絡ください。
 

妊娠を考えている方へ

妊娠してからではMRワクチンを接種できません。そのため、妊娠を希望する方は、妊娠前の段階で麻疹・風疹の免疫を確認しておくことをおすすめします。

抗体検査で免疫が不十分と判断された場合は、妊娠前にMRワクチン接種を検討します。接種後は一定期間、妊娠を避ける必要がありますので、妊活の予定がある方は早めにご相談ください。

また、妊娠に気づかずにMRワクチンを接種してしまった場合でも、通常はそれだけを理由に妊娠中絶を考える必要はないとされています。心配な場合は、自己判断せず医師にご相談ください。
 

まとめ

麻疹は、感染力が非常に強い感染症です。東京都では2026年に入ってから麻疹の報告が増えており、国内での感染拡大にも注意が必要です。

妊娠中に麻疹にかかると、お母さん自身が重症化しやすく、早産など妊娠経過に影響する可能性があります。

妊娠中はMRワクチンを接種できないため、妊娠前の確認と、ご家族を含めた予防が大切です。

発熱や発疹があり、麻疹が心配な場合は、直接来院せず、まずお電話でご相談ください。妊婦さんと赤ちゃんを守るために、早めの確認と適切な対応を心がけましょう。